各報道機関は8日、超党派のカジノ議連が14日に発足。秋の臨時国会で法案提出、成立する公算が大きいと伝えました。政治の混乱もあり、法案提出に約10年かかったことになります。政府は、カジノについて単に公営ギャンブルの一つではなく、観光庁が押し進める「観光立国推進計画」の中に組み込むことで、観光立国の実現に向けての起爆剤として捉えているでしょう。当然ですが、カジノ法案が成立していない今、観光庁の「観光立国推進計画」のなかには、カジノ」の言う言葉はありません。法案成立後、観光庁のアクションプラン改訂版には、カジノに関する新たな計画が追記されるでしょう。
産経ニュース:「超党派のカジノ議連、14日に発足 秋の臨時国会にも法案提出へ」
NHKニュース:「カジノ議連 超党派で設立へ」
観光立国を掲げているのは日本だけではなく、韓国、中国、シンガポールをはじめとするアジア諸国も観光立国を掲げ、既に動き出しています。詳しくはまたの機会としますが、アジア全体から見ると日本は遅れを取っていることは否めません。しかし、カジノ法案が成立し、政府が産業の一つの柱にと押し進める観光産業に組み込み、政府主導のもと本腰を入れてスピード感をもって事に当たれば、まだアジア諸国との遅れは取り戻すことは可能と思います。
報道によると「監督官庁は国土交通省、主体は地方公共団体、建設・維持管理・運営については、公募で選んだ民間業者に委託する」とあります。 法案が成立していない今、政府の立場からすれば、この杓子定規な発表も致し方ないのですが、法案が成立した際には「観光産業の成長は、将来の国家存亡に関わると考えており、単に国は法律を整備し、営業許可を与えるだけでなく、国家の重要な成長戦略の一つと捉えており、政府として積極的に関わり、実際の計画〜建築〜営業に関わる民間企業の良き協力者として、実現・成功に努めたい」ぐらいのことは言って欲しいですね。
では何故、超党派を組んででもカジノを進めるのかということです。それは、国や自治体の税収が大幅に減り、今後大きく税収が見込めないと考えられているからです。これは現在運営されている 競馬・競輪・競艇・オートレースの公営競技(公営ギャンブル)が誕生した状況と同じです。(※中央競馬以外は、賭け金に対し払い戻しはその75%で行われます。つまり残りの25%が運営元に残り、その一部が自治体運営に利用されてる)
戦後、地方自治体の財政は危機的状況でした。それを改善するためにとった政府の策が、公営競技の運営を許可することで、財政を少しでも楽にすることが目的でした。経済成長と共にその目的は予想以上に達せられ「潰れない産業」と言われ、地方自治体の運営に大きく寄与しました。しかし現在皆さんご存知の通り、公営競技は凋落の一途を辿っています。そこで起死回生の一つとしてカジノ設立が切望されている訳です。
しかし、現在の公営競技やパチンコ屋のような形態のように、カジノだけの施設が計画されることはないでしょう。あるとしても先の話のなるのではないでしょうか。重要なのは、政府が押し進める観光立国を現実のもとするための強力なコンテンツとして、娯楽施設や魅力ある宿泊施設などとセットで計画することです。
カジノのみならずその周辺事業(宿泊施設・テーマパーク・商業施設など)と従来よりある地域の観光産業をも含めた計画は、インフラ整備、建設、設備関連産業、飲食、流通などの多くの産業と雇用などに経済効果が見込めます。結果、自治体は、法人税・住民税・所得税などが増すことになります。
今度こそは、観光による地域振興の名の下に第三セクター方式つくられた、多くのテーマパークをはじめとする各種施設のような、「真の総合プロデューサー不在」、「ねつ造された調査データによる計画」、「達成不可能と思える事業予測に基づいた経営」などで、結果、短命に終わり、その穴埋めは税金投入なんてことにならないように願いたいですね。