2010/05/24

大きく分かれたテーマパークの運命

春を迎えたころ経営困難・破綻のテーマパークに関する4つの報道がありました。それを見て思ったことは、「あらためてテーマパーク事業について、検証すべき時期ではないか」ということです。

政府は観光庁を創設し、観光立国を宣言。今秋にはカジノ法案の成立も見込まれています。そんななか、観光に関する研究会などの会合が開かれていますが、これはビジネス機会をうかがう人々の集まりでしかないのではないでしょうか。決して悪いことではありませんが、観光立国を成立させるためには、悲惨な過去を持つ多くのテーマパーク事業について検証することで、地域を含めた観光事業のありかたについて学ぶことができると思います。

以下の3社は第三セクター、1社はテーマパーク運営のノウハウを持たないゴルフ場経営会社でした。これらの事業は、その事業者が考えるほどの成功は収められないと、開業前、いや計画段階から思っていた人は少なくないでしょう。名だたる調査会社や金融機関が関わりながらです。

経営困難・破綻の理由は「入場者が思うように伸びなかった」が、決まり文句ですが、この4つのテーマパークのみならず、90年代に開業した国内のテーマパーク や娯楽施設などの多くは、事業計画(予測)自体に問題があったこと、開業後のテーマパークや施設運営に関する経営陣の知識・経験の低さ、怠慢が原因である ことは明らかで、一般企業が、「つくった製品が売れなかったので会社が潰れます」だけで、従業員や取引先、株主、社会が許すでしょうか。 お決まりの破綻理由は、何の説明にもなっていません。

再生の道を得られた施設。今後新たに計画されている施設。過去の過ちを十分に検証し、時代と共に変化する人の気持ちを汲み取りながら、「楽しい空間(場所)」を恒 久的に提供することについて十分に考えていただき、全てにおいて愛されるテーマパークや施設になるよう努めていただきたいですね。

ということで、4つの報道を見て頭に浮かんだことでした。
以下は、その報道とテーマパークの顛末です。

再々起:長崎「ハウステンボス(第三セクター)」は、2003年会社更生法を申請し、野村プリンシパル・ファイナンスの更生計画が認められ営業は継続されていましたが、ここ数年の来場者低迷が響き存続の危機に立っていました。今年4月HISが支援に入り、今春より新体制により営業されています。

「ハウステンボス」は、素晴らしいテーマパークというより、素晴らしい施設として、分かる人だけが分かる施設です。ある意味、早すぎたうえの失敗といえるでしょう。「自然との共生」を第一に掲げ、例えば、高度な水処理施設を所有し、処理水を直接排水せず、パーク内の花壇や木々などに散水し、土壌を通して自然に帰すなど、目に見えない部分に多く資本が投入されています。また各施設も拘ったものとなっており、テーマパークではなく、本物の街を出現させたと言っても過言ではないつくりとなっています。

将来を見すえた経営者の「夢」を実現した、素晴らしいテーマパークです。しかし、入場者があってのテーマパーク。ハウステンボスが社会に伝えたかったこと、それは将来、皆が望む街の姿であることだったと思います。通常のテーマパークでは考えられない施設や設備への大きな投資、ハウステンボスが社会に伝えたかったことの認知・理解が進まなかったことなどが、今に至っていると思います。再々出発をしたハウステンボスは、計画段階から掲げるハウステンボスのコンセプトとその意義についてもっと知らせるべきでしょう。そうすれば、集客の施策もいろいろと広がるのではないでしょうか。

再々起:香川「レオマワールド(日本ゴルフ振興㈱/H15会社更生法申請/閉園:2000年8月)」は、2004年に「ニューレオマワールド」として、加ト吉(現:テーブルマーク)など、県内企業出資による香川県観光開発のもと経営が引き継がれましたが、思いように業績が伸びず、5月に東京温泉物語㈱がその株式の62%を取得することで再々出発が決まりました。

「レオマワールド」は、ゴルフ場の開発と経営を手がけていた日本ゴルフ振興㈱が、計画したテーマパークでしたが、テーマパークの経営には全くの素人。まさに「バブルの徒花」でした。再々出発を引き受けた東京温泉物語㈱の計画によると、大衆演劇やミュージカルなどの常時複数公演を実施するなど「四国のブロードウェー」を目指したいとのこと。もちろん家族で楽しめる温泉も用意されるでしょう。気軽に楽しめる魅力あるパークとなって頂きたいですね。

消滅:岡山「倉敷チボリ公園(第三セクター/閉園:2008年12月)」は、「イトーヨーカ堂倉敷ショッピングセンター(仮称)」と「三井アウトレットパーク」が年内に開業を予定しています。

「倉敷チボリ公園」は、当初岡山市の市政100年の記念事業としてJR跡地に計画されましたが、事業会社のずさんな経営が発覚。白紙撤回となりました。しかし、当時の県知事がクラボウの工場跡地を借り受けることで、新たな計画として建設を推し進めましたが、事業の中核であった阪急が撤退。結果、岡山県の単独事業として開業を迎えましたが、開業前にこれだけガタついた事業を強引に進めた当時の県知事にはどのような理由と勝算があったのでしょう。知事に聞いてみたいものです。

消滅:福岡「大牟田ネイブルランド(第三セクター/閉園:1998年12月)」は、「イオンモール大牟田」と決まっていましたが、諸所の事情で営業開始が遅れていましたが、2011年春に開業と決まりました。

「大牟田ネイブルランド」は、バブル崩壊後、日に日に経済が冷え込んでいく中、それを懸念してプロジェクトを仕掛けた大手広告代理店が手を引いたり、役員がごっそり変わったりと、建設に入る前に迷走状態に陥っていました。また、資金の調達が難しかったのか、計画の半分の施設での開業を強引に推し進めました。何故、事業延期や中止にしなかったのでしょう。

ともあれ、過去の観光事業失敗の反省のないままに観光立国を目指して突き進むのは、不安でなりません。

2010/05/16

パラマウント・リゾート大阪、事業仕分けで一歩前進か

パラマウント・リゾート大阪の建設予定地として検討されている、大阪エキスポランド跡地とその周辺の土地を管理する日本万国博覧会記念機構が、政府の事業仕分けで廃止対象となったことで、商業施設などへの土地使用が可能となる公算が大きくなった。

これに対し、パラマウント・リゾート大阪の開発構想を発表している株式会社燦キャピタルマネージメント(大阪市)の前田社長は「事業の実現には良いこと」と歓迎したが、最大の課題とされる資金調達については「企業や投資ファンドに加え、大阪府民からの市民ファンドなど(の活用)も検討している」と述べている。(15日産経関西より)

以前の前田社長の発言では、資金については目処が立っているかのような発言だったと思うが、少し変わってきたのが気になるところだ、施設建設には欠かせない用地が用意できる可能性が大きくなったわけだから、今後どのような動きとなるか見守っていきたい。

開業時期については、当初予定の2013年から2015年にずれ込むことを明らかにしている。現在の公園としての利用が来年3月まで決まっており、その後、環境アセスなどに1年程度かかることをその理由としている。

今回の記事で気になるところは、パラマウントのライセンスを管理する「パラマウント・ライセンシング」との契約内容だが、いつまでに着工しないと契約が無効となるかなど、このあたりはパラマウント側には臨機応変に対応していただき、実現に向け協力いただきたいと願いたい。

施設概要(2008年プレスリリースより抜粋)
本パラマウント・リゾート大阪は、世界規模のエンターテーメント、最上級の小売施設、魅惑的な5 つ星ホテルを、地元住民の方々と観光客の方々の双方にとって、感動的で独創的なエンターテーメントやおもてなしを体験して頂くものとして融合するものとなります。この100 エーカー(約400,000 ㎡)の複合施設は、エレガントな広場、豪華な造園風景、美しい建築物、革新的「グリーンテクノロジー」を特徴とする、パラマウント映画の伝説的な貯蔵フィルムの感性を散りばめたものを想定しています。本リゾートは、最先端の会議場施設、高級スパ施設等を含むものとなります。

2010/05/14

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに関する2つの報道から見る変化

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが『変わったな』と思わせる記事が、4月下旬に2本ありました。

本題に入る前に少し
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンはテーマパークの名称。これについては広く社会でも認知されています。では「どこがやってるの」と言うことについては、その認知は非常に低いものです。現在でも、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを経営している会社はどこでしょう。と聞かれて答えられる人はどれだけいるでしょう。殆どいないでしょう。

ここで確認
施設名称:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンというテーマパークを運営するのは、株式会社ユー・エス・ジェイ(ユー・エス・ジェイ)です。 ユー・エス・ジェイ は、企業として来場者にはもちろん、企業市民として社会に対し、どのような取組みを行ってきたかについては殆ど知らせてこなかったといえるでしょう。知らせる努力をしていたとしても、伝わってこなかっのは、知らせる側の問題でしょう。

ユー・エス・ジェイは消費者から見て、開業前からブラックボックス状態でした。開業後、火薬・水・食品と立て続けに不祥事が起きましたが、その対応についても不十分なもので、結果、入場者が減り、大きく経営を揺るがすことになりました。その後、社会に自らを知ってもらう努力を行ってきたかといえば、結果として、何も行ってこなかったといえるのではなでしょうか.

しかし、4月下旬にユー・エス・ジェイも変わったかなと思えるニュースが2本ありました。

4月28日産経新聞「 食事もアトラクション! USJ“高い・マズい”を改革」では、開業当初から来場者から好ましい評価を得ていなかった飲食部門について、全面的に改善を行ったことを知らせています。記事では、この改善を実行したのは外部からスカウトした新しい飲食部長によるものと紹介し、氏が最も問題視したのは、「テーマパークのフードとはこんなもの」という飲食関連スタッフの意識の低さ」と述べています。(記事より一部抜粋)

今回の記事では、自身の過ちを認め、来場者の声を真摯に受け止め、来場者の立場に立って飲食について考え、実行しています。大変評価できる取組みだと思います。社内の取組みをストレートに社会に伝えたのは初めてでしょう。この点でも評価できます。

4月30日読売新聞「もう迷子にさせない…娯楽施設や行楽地、目配りして」では、迷子対策は以前から行っていたと思いますが、新たな迷子対策を打ち出し「もう迷子にはさせない」と宣言しています。また記事の中で、迷子になりやすいパターンが紹介されており、保護者への来場前の意識付けもなる記事となっています。このニュースは、お母さん向けのWebサイトでも紹介され、よい効果を得るのではないでしょうか。

今後も、来場者の立場に立って、安心して1日を過ごせ、楽しい想い出をつくれる施設を提供するために、記事のような取組みを行って頂きたいですね。このような来場者の立場に立った改善の取組みを続け、同時に知らせることも行うことで、必ずや企業によい結果もたらすでしょう。

今回の記事2本が、戦略的にメディアに流されたものであれば、まさに『変わったな!』と、花マル2つです。

2010/05/09

皇居散歩に大満足

GWの休み疲れでスッキリとしない身体を、歩くことでリフレッシュするつもりで、皇居に出かけました。

子どものころ以来の皇居でしたが、自身が持っていた皇居のイメージとは大違い。緑豊かで、心和む場所でした。東京には3回目、計12年生活していますが皇居のことは何も知りませんでした。

桜田門から皇居に入り、お決まりの眼鏡橋。
桜田門からは国会議事堂が望めます。
皇居から眺める大手町の風景は、
普段歩いてる街とは違って見え新鮮でした。
知りませんでした。
皇居の一部「皇居東御苑」は公開されていて無料で入れるとは。
入場時に入場票を受け取り、退場時に返却します。
日本人なら誰でも知っている「松の廊下」跡も発見。
ホーと少々感動なんかしました。
午後遅めに自宅を出たので本丸跡しか行けませんでしたが、
こんなに広い芝生広場があるとは全く想像もしませんでした。
芝生広場の一角に複数のバラが植えられており満開。
モッコウバラは、憎らしいほどの咲きようでした。
北桔橋門を出て、武道館へ。
武道館に向かう西側に続く、北の丸公園もはじめて訪れました。
緑豊かな公園で驚きました。
田安門を抜け散歩は終了。
(靖国神社参道入口横)
今回は時間がなかったので、皇居東御苑の東側に行けませんでしたので、近いうちに再訪することにします。

輝く緑に包まれた大満足の1日でした。

2010/05/06

世界のテーマパーク入場者数2009

TEA(テーマエンターテイメント協会)が、全世界のテーマパーク入場者数を発表した。

一言、「ディズニーは強い」。

TEAの発表資料によると、ベスト10の内、上位8までがディズニーのパークが独占、9位がユニバーサル・スタジオ・ジャパン、10位がエバーランド(韓国)となっている。

テーマパークのみならず多くの企業が影響を受けた、世界同時不況や豚インフルエンザをものともせず、東京を除くディズニーのテーマパークは入場者を伸ばしている。東京ディズニーランドやディズニーシーは、2008年の25周年の過去最高の入場者を記録した翌年といこともあり少しポイントは下げている。それにしてもディズニーの集客力は凄い。

ディズニーランドが東京にできるまで、国内第1位を誇っていた長島スパーガーデンが15位と検討。確か第2位は、宝塚ファミリーランド(2003年閉園)ではなかったかと記憶している。

国内の観光事業活性のみならず、海外からの観光客獲得に向け、観光立国を宣言した日本だが、 先に開業したシンガポールの「リゾート・ワールド(ユニバーサル・スタジオ・シンガポール含む)」 。韓国には、早ければ今年中に工事に入る「ユニバーサル・スタジオ・コリア」。エバーランドは大がかりな改装を予定しているようだし、ロッテワールドはじめとする以前からある各種施設のリニュアルが終了ないし進行中。マカオはファミリー集客に向けての計画を練っている。日本もうかうかしていられない。 集客の核の一つとなる各種娯楽施設は、観光客の獲得競争には不可欠。カジノ法案成立の可能性も含め、国土交通省、観光庁は、戦略を持って観光立国実現を果たしていただきたい。

TEAからリリースされたレポート(クリックでPDFが開きます)
シンプルでデザイン性の高い、分かりやすいレポートです。
表示されない場合は、ここをクリック

2010/05/03

タバコメーカーの必死さ

タバコメーカーから小包が届きました。

小包を開けてみると・・・。

まずは「いままでは、序章に過ぎない」と書いたパッケージ。
次に「世界が、初めて目撃する」と書いたパッケージ。
その次は「あなたの手から、新たな歩みがはじまる」で、
やっと新製品「KENTの薄型スタイル、濃縮メンソール」とご対面。


まぁ、ここまでしなくてもと思えるパッケージでした。

製品以外に、ご挨拶、10ページの立派な製品案内のパンフレット、「毎日1人が当たる」キャンペーン告知用紙、申し込みハガキ2枚と、経費のかかったものでした。加えて、外箱、包装、郵送費。


目的は、他社のメンソールを購入しているユーザーからの乗り換えを狙ったものでしょう。確かに一旦乗り換えれば、継続的に購入される可能性が高いですから、コスト的には合うのでしょうが、「紙の無駄使い」と、逆に印象悪くするような気がします。

企業ですから十分な調査を行ってのことなんでしょうが、こんなに経費をかけるのでしたら、たとえ10円でも値下げした方が、購入意欲を刺激すると思いますけど、いかがでしょう。

2010/05/01

聖書に興味津々(2)


個人的な話になりますが、お祈りで1日が始まり、お祈りで1日が終わるカトリック系の学校に12年間通っていました。宗教の時間はもちろん、一般教科も神父やシスターから授業を受けました。宗教の時間は、特に退屈な時間だったことを思い出します。唯一良かったと思えたことは、週休2日が広く定着していないころから、週休2日だったのが何より嬉しかったことを思い出します。

とはいえ、特に信仰心がある訳でもなく、今まで過ごしてきました。しかし、不思議なもので教会に行くと落ち着くというか、ホットするというか、子ども時代の刷り込みが、15年前ぐらいから威力を発揮してきた感があります。出張や旅行に行ったおりに教会があると、ついつい覗いたりしています。これは、中学〜高校と過ごした自宅の前が教会だったことも影響しているのかもしれません。

実家の周辺には、車で30分圏内に多くの教会があります。クリスマスになると、ロウソクを持った聖歌隊が街を廻り、週末には教会でコンサートが開かれるなど、社会人になるまでは、教会に自然に触れられる環境にいたことを今更ながら思い起こしています。

そんな環境で育ったとはいえ、信仰心のないのは事実です。
しかし、ここにきて聖書は面白そうと思ってしまうのはなぜなんでしょう。

先の投稿で、元カネボウ薬品社長の三谷康人氏の言葉を紹介しました。「不況で追い込まれたビジネスマンは、ハウツーに見向きもしない。みんな本質を求めている。ドラッカーが読まれるのは、彼のマネジメント理論がハウツーではなく聖書から導き出された本質だから。企業が聖書を求めている・・・」

ドラッカーと聖書の関係は、日本ではあまり知られていないようです。Wikipediaを見ても、聖書やキリスト教との関係については、一切触れられていません。また、ドラッカーについて書かれたものにも、聖書との関わりについて触れられたことはないように思います。

元カネボウ薬品社長の三谷康人氏が述べられた、「・・・ ドラッカーが読まれるのは、彼のマネジメント理論がハウツーではなく聖書から導き出された本質だから・・・」と言われても、聖書に関する知識がない私は、ドラッカーを深く理解することができないのかと思ってしまいます。

そこで、1冊ご紹介です。

「聖書に興味津々」の興味で読んだ本なのですが、「頭にあったドラッカーという経営学者」「聖書に対しての知識・理解の浅い私」、ドラッカーと聖書を橋渡ししてくれる本だと思いました。三谷康人氏が述べられた「ハウツーではなく本質」。まさにこの言葉の意味をストレートに書かれた本だと思います。

著者:松島 修
(サンマーク出版)

聖書というものが、幸せに生きるための手引書であり、歴史や世界を知るためには重要な書物であるとの理解はありましたが、「聖書は宗教の書ではない」で始まるこの本は、宗教色を排除し、聖書が導く成功(幸せ)の法則が分かりやすく書かれています。

先の投稿で紹介した山崎製パン社長 飯島延浩氏のインタビュー記事の中にあった「右手に聖書、左手にドラッカー」。私の場合「 右手に聖書、左手にドラッカー、机の上にこの本」ということになるのでしょうか。

元富士銀行頭取/みずほファイナンシャルグループ名誉顧問の橋本徹氏は、「私がこれまで出会ってきた経営者の中には、まさしくこの本に書かれた真理の原則を保ち、実践された方が多くいます。振り返ると、私の人生もまた、聖書に支えられた半生といえます。すべてのビジネスマンたち、そして、これまでの成功哲学に飽き足らない方にぜひ読んでいただきたい一冊です」と推薦文を寄せています。

4月16日のリリースによると、2/25初版発行から約1ヶ月で5刷りが発行されたと言うことですから売れ行き好調のようです。また発売直後、アマゾンで総合1位にも輝いています。

この本には、読み方にはコツがあるような気がします。最初はサックと読んで、2回目は引用されている聖書の言葉などについて考えながら読むと大変理解が深まります。3回目以降は、年に1回程度読むことで自身の現状を把握し、向かうべき方向に対して適切な考えや行動がとれているかを確認できる本だと思います。

また、人のタイプを4つに分類し、それぞれのタイプの強みと弱みについて端的に書かれており、自身を知るには良いと思います。これだけでも、思い立った時に読み返すと自身を冷静に見つめることができると思います。

いままで「聖書」と聞いて、腰が引けていた方に薦めです。

「聖書」と「ドラッカー」。久しぶりにドラッカーを本棚の奥から引っぱり出して、あらためて読んでみることにします。今まで読み取れなかった、気付かなかった、ドラッカーが伝えたかったビジネスの真理が、あらたに見えてきそうな気がします。


もう1冊、興味深く読めた本を紹介します。

少し考えなければ理解できないところはありましたが、面白く読めたのは『はじめての宗教論 右巻~見えない世界の逆襲』著:佐藤 優(NHK出版)です。


「宗教論の講義を始めます」ではじまる本書は、宗教や聖書、キリスト教についての核心的な問題を「知の怪物」といわれる著者らしい視点と持論で展開しています。1人で勉強したら、決して入り込むことない聖書、神学の世界。そして、それらと国や社会との関わりなどを分かりやすく、明快に語っています。

本を読みはじめた頃、某新聞社OBの方とお会いした際、この本の話をしました。「諸外国の国の戦略立てる人材は、神学、哲学、社会学を学んだ人が殆どなんですよ。特に、米国や中東を理解するためには、聖書を理解していないと戦略的外交はできないのです」と言われました。

確かに、聖書が建国の原点となっている米国。ユダヤ教の聖典は旧約聖書、イスラム教のコーランとも共通する部分も多く見られることは知られたことです。

また、知人である海外の科学者の通訳を行っている通訳者に、聖書について聞いたところ、「新約聖書は、空で言えるよ」とサラリと言われてしまいました。彼女曰く、科学者の通訳をするためには、聖書を理解してないとできなと言い切られました。つまり海外の科学者が持つ世界観を理解しないと、通訳者自身も理解できないし、正しい通訳はできなと言うことなのでしょう。確かにそうだろうと思いました。

信仰心を持たなくとも、十分に楽しめそうな聖書。しかし、聖書そのものを読むとなると、億劫な気持ちの方が先に立つのも事実です。聖書を読まず、その周辺書籍をいくつか読んでから、聖書を読むのもいいのかなと思ったりしています。ここで紹介した2冊は、その入口に近づける書籍だと思います。

投稿にあたり

投稿には15分以上時間をかけないことを課し、誤字脱字、文脈の揺れを気にせず書いています。テーマはエンターテイメントを中心とした雑記。