2010/07/07

観光産業と感性価値

観光立国を目指す政府は、日本観光に高い関心を示す中国人に対し、7月から中国人の個人向け観光ビザの発給の要件を、年収約350万(富裕層)から年収約85万円(中間層)に引き下げ。これにより、年間約48万人であった中国人観光客が10倍になると予測しており、観光による経済活性の一つとして期待している。

中国人観光客といえば、電化製品、サプリメント、化粧品などへの高い購買意欲がクローズアップされてきた。報道によれば、家電量販店での平均購入金額が10万円を超えるといわれている。

しかし、富士山などの景勝地、神社仏閣などの歴史的建造物、旅館と温泉を目的に訪日する中国人観光客も多い。そのような中国人観光客は、日本に来ての印象について「親切」、「礼儀正しい」を、多くあげている。日本のおもてなしの文化や感性を十分に理解をしてくれている証といる。もちろん、中国人観光客のみならず、多くの外国人観光客が日本文化(感性)の体験を楽しみに来日してる。

そんな中、みずほ総合研究所㈱より、『「感性価値」からみた観光市場とその活性化』と題されたレポートが公開された。

感性価値とは「機能、信頼性、価格を超える第四の価値軸」、「生活者の感性に働きかけ、感動や共感を得ることによって顕在化する価値」 と定義したうえで、「成熟社会においては、感性価値中心の発想によるものづくりやサービスこそ、新しい需要を喚起する力がある」としている。(経済産業省「価値創造イニシアティブ」より)

レポートでは、消費に対する感性価値について数値化されており、感性価値のウェイトが高い項目の上位2つは、観光と直接つながりのある項目になっている。ちなみに最下位は生活家電。

レポートによるとホテル・旅館の市場規模は約7兆円、うち感性価値が57%ですから、価値を金額換算すると約4兆円となる。これはホテル・旅館だけの数字で、観光市場全体を考えれば、莫大な金額となる。

つまり観光産業において感性価値を高めることは、価格もあげるれ、リピーターを多く生むことになる。市場は一層大きくなり、政府が推進する観光立国の実現に繋がるのではないだろうか。

レポートでは、感性価値の構成ファクターは「日本的要素」、「作り手」、「洗練美」、「サービス」の4つとし、「日本的要素」ファクターを抜粋すると以下のように示されている(詳しくはレポートを)。
単なる「和風」ではなく、この因子の構成要素は「日本的な感覚が活かされていること」、「伝統や古さと新しさが共存していること」とし、提供されるサービスの中に、どこかしら日本的感覚が感じられ、伝統と新しさの融合があることが重視されているとあります。これらは、外国人観光客誘致のみならず、日本の国内旅行活性にも繋がるのではないでしょうか。
このレポートは、価値としての感性をわかりやすく簡潔に述べています。観光業界の方のみならず、多くの方に読んでいただきたいレポートである。

―「感性価値」からみた観光市場とその活性化(みずほ総合研究所㈱)―
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「感性価値」に関する調査については以下をご覧ください。
感性価値の市場規模推計に関する調査研究(みずほ総合研究所㈱)」



「感性価値」について、詳しく知りたい方は以下を。

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