1980年後半から1990年初頭にかけて全国で建設されたテーマパークをはじめとする観光施設の多くが破綻したのは「人災」。
1987年に制定されたリゾート法(総合保養地域整備法)により、1980年後半から1990年初頭にかけて、地域振興をうたい多くの観光施設が計画された。しかし、その殆どで民事再生法や会社更生法の適応をうける結果となった。当時、テーマパークや観光施設などが破綻したことについて、破綻の事実は報道されても、その原因に言及する報道はなく、釈明会見でもその多くで「集客が思うようにできなかった」で済まされることが殆どであった。
それらの多くが第三セクター方式によるもので、多くの資金(税金含む)が投入されたにもかかわらずその責任を負うものはなく、破綻に至った原因の究明もなされなかった。結果、その負担は国民が負うこととなった。つまり、それらの計画や経営に携わった関係者は一切責任を負うことがなかったということだ。
※第三セクター(Wikiより):日本においては、国または地方公共団体(第一セクター)が民間企業(第二セクター)と共同出資によって設立した法人を指すことが多い。その場合、多くは設立が比較的容易でその運営方式も自由な株式会社の形態を採る。半官半民の中間的な形態が、第三の方式という意味である。)
皆さんがお住まいの近くにも、一つや二つあると思う。思い出してください。
個人的にはカジノ法案が成立することを願っている。国内10ヶ所程度のカジノを含めた統合型リゾート(Integrated Resort(IR))が計画される事は大歓迎だが、IRの計画は過去のような安易な観光施設計画では必ず失敗する。国会で検討されようとしているカジノ法案は、国や地方の今後にかかわる重要な案件の一つ、現在の国状を考えても失敗は許されない。
カジノの是非いついてここでは示さないが、今、カジノ法案と共に何が検討されようとしているかについて正しい情報を知っていただき、これらを知った上で地域主導でその是非について議論していただきたい。
では、テーマパークに代表される観光施設の破綻原因を施設開業の前後に分け、個人的考えとして以下に記す。
「日本のテーマパークが破綻した10の理由」
■計画から建設
- 計画・実行責任者が素人であり、適切な判断を下せなかった。また(結果として)そこに集まったコンサルタントなどは信頼に足りるものではなかった
- 社会(地域)への十分な説明による理解のもとに計画されなかった
- 適正な情報と予測を基にした計画ではなかった
- 恒久施設であることを認識した計画ではなかった
- 適正な予算計画・管理ができていなかった
- 素人経営であった(第三セクターの場合、トップは天下り)
- 稼ぐという執念がなかった
- 社会を理解し、社会と向き合うことができなかった
- 感性価値の創造ができなかった
- 運営に関わる業務全般で、経験豊富なゼネラリスト、真のスペシャリストがいなかった
- 適正な人材の確保(コンサルタントなども含めた)
- 適時適正な情報公開と広聴
- カジノに頼らない経営(カジノは強力な観光コンテンツだが、それに胡坐をかく経営では失敗する)
カジノ法草案:サマリー(カジノ合法化に関する100の質問より)
http://www.casinonews.jp/Seminor/casino_act_summary.pdf
カジノに関して知りたい方はコチラを薦めます。
カジノ合法化に関する100の質問:http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/
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少し古いが内閣府政策統括官室 経済財政分析担当による以下のレポートを見ていただいても、そのずさんさがわかる。
「地域の経済2004 ~地域経済とグローバル化~」
レポートでは、当時の代表的なテーマパークの苦戦の要因を以下のようにまとめているので、簡単に記しておく。
- 「この街でこのテーマ」というコンセプトがはっきりしていないものが多かった
- 初期投資が大きく、支払負担が大きいために、追加投資が思うようにできなか
- 事業主体が第三セクター方式を取っていた
- 来客予測が甘かった。これは、第三セクター方式を取っていることとも結び付くが、専門家でない人間が予測を立てたところで、甘くなるのは当然である