2009/02/20

日本は西洋文化に寛容か無防備か

週刊東洋経済(2/14)に「上海ディズニーランドは必要か」と題した記事がありました。過去に何度か正式発表の報 が流れ「狼少年化」した感のある上海ディズニーランドが、総投資額5000億円を超える大型プロジェクトととして、本決まりになったようだと伝えていま す。現地では歓迎派と慎重派があり、広州日報の記事を取り上げて以下の記事が掲載されていました。

「上海ディズニーランドは巨大な文化的罠か?」
抜粋①:「もしわが国が民主的で、福祉や文化、教育、交通、インフラ、辺境地区にお生活水準などが整っているのであれば投資しても良い。しかし我々は、まだまだカネが 必要だ。(中略)中国の実情に照らして、これほどのカネを使って米国ネズミがもたらす精神的快楽を買う必要があるのか」。


抜粋②:「文 化面での侵入行為には、自動車や金融などの基幹産業の国内進出より慎重に対応しなければならない。こうした一般産業の進出は、初期に一定の陣痛があって も、その結果を比較的早く手にすることができる。しかし文化的な侵入はそうではない。一歩間違えると逆にこちらがのみ込まれてしまう可能性がある」。

記事では、「東京にディズニーが進出する際も、こういう議論があったのだろうか。いずれにしても、上海ディズニーランドの前途多難を感じさせる論調ではある」と結んでいる。

広州日報の記事については、確かに考えさせられるところがあります。USJをはじめ日本の多くのテーマパークは、多くの税金が投入されているのは確かで、直 接出資されていなくとも、道路、電気、下水道などのインフラにかけた費用は莫大なものです。そして、残念ながらその殆どが閉園に追い込まれました。


日本のテーマパークは3年」という言葉があります。もちろん初年度から黒字と言うことはありません。予想以上のマイナスを出したテーマパークがほとんどで、それを埋めるのも税金です。「日本のテーマパークは3年」というのは、テーマパークから仕事を請け負って儲かるのは3年と言う意味です。USJですら一歩間違えれば・・・と言える状態になっていたのも事実ですし、また日本の観光事業の過ちは、計画段階で十分に予測できたのも事実です。

文化面でも考えさせられる記事となっています。日本は西洋に寛容ではなく、無防備だったのかと考えてしまいます。しかし他国にあるテーマパークに比べ、日本 のディスニーやユニバーサル・スタジオは、運営面での安全性、ゲストに対するサービスの点では、圧倒的に高いと考えます。それは日本人が元来持つ「細やか さ」や「思いやり」が、高い安全性やサービスを実現しているのでしょう。そう考えると日本は米国文化にのみ込まれているのではなく「コンテンツの米国」、「サービスの日本」という、双方の文化が世界最高の非日常空間を生み出しでいると個人的には考えています。

中国は経済成長10%維持を掲げていますが、一部の見方では8%と予測されています。世界経済の急速な減速は、経済発展を遂げる中国とて無関係ではありませ ん。中国は高い経済成長を維持する必要があります。そのための観光開発は、経済活性を維持するために必要なのは確かです。中国の経済発展は、輸出国日本に とっても他人事ではありません。今後開発されるディズニーやユニバーサル・スタジオが、世界の評価を得れる双方の文化の融合となり、中国経済の発展に繋が ることを願いましょう。

今後、日本もカジノを含む大型のマルチ・エンターテイメント構想の実現に向け動きだすでしょう。その折には、過去 の失敗を真摯に受け止め、甘い事業計画、施設を建てることが目的の観光開発、永続的に続けなくてはならない高品質のエンターテイメント、高品質のサービス についても十分に考えた計画、あたり前の事をあたりまえに事業に取り組んでもらいたいですね。

投稿にあたり

投稿には15分以上時間をかけないことを課し、誤字脱字、文脈の揺れを気にせず書いています。テーマはエンターテイメントを中心とした雑記。