2009/09/16

説明責任を果たしてない第三セクターの事業

タイトルに引かれ、7月に発刊された『「説明責任」とは何か(PHP新書)』を読みました。

説明責任の原義、歴史的流れ、企業として、個人としての説明責任とは何かに加え、米国で会計学に始まった説明責任が、日本の文化や日本人になじむものかなど、非常に判りやすく書かれた本でした。政治家・公務員・企業の不祥事が続く今、皆さんも「説明責任」と言う言葉が持つ意味を今一度確認するためにもお読みになってはいかがでしょう。

本ブログではテーマパークのその事業のありかたなどについて書いてきましたが、本を読んで、フト!頭に浮かんだことがありました。それは、その殆どが第三セクターとして開業した日本のテーマパークのことです。政治が混迷する中、第一セクターに対し「必要性」と「税金の無駄使い」が問われた「私のしごと館」や「漫画の殿堂」などは、その必要性について国民が納得できる説明は、いまだに担当省庁からありません。では、その殆どが第三セクターで開業し、その殆どが姿を消したテーマパークや観光施設などについて、それらを運営していた法人は、広く一般に事業失敗の原因を説明したでしょうか。してません。

事業失敗の理由はどこも同じ「思うように入場者数が伸びなかった」これが全てでした。

国民の多くは、施設建設費に多くの税金が投入されたとは理解しているでしょう。しかし、それだけではありません。お金(税金)と言う意味では、道路や下水道などのインフラ整備に多額の費用がかかっています。どうでしょう、施設が出来る前は、数百人しか居住などしていなかったところに、1日で数万人が訪れるのですから、インフラについては都市並みの整備が求められます。

テーマパークなどの施設は、道路建設と同じで恒久的施設です。そこにかかわるのは建設業です。つまり自治体(第三セクター)が掲げた「観光による地位活性」の本来の目的である「集客」による地域活性の起爆剤としてではなく、施設を建てることが目的の道路や必要のない施設「ハコモノ」と言われるものと、同様の感覚でテーマパークを建設してきたと言われても、いたしかたないですね。開発や大型施設が景気の活性になると思い続けている政治家やお役所の方々が「田中角栄の亡霊」に、いまだに支配されているとしか思えません。

予断ですが、今回の選挙は「田中角栄の亡霊」を払いのける儀式だったのかもわかりませんね。田中角栄が掲げた「日本列島改造論」は、当時の日本では必要でしたが、ここ20年、必要であったかは疑問です。政治家や「ハコモノ」にかかわる皆さんには、何らかの良いことが沢山あったんだんで止めることが出来なかったんでしょうね。

事業計画段階では、達成は不可能と思える集客予測。開業後の永続的な運営と言うことなども何も考えていなかったんでしょう。机上の運営計画だけで・・・。経営陣、マネージメントは、エンターテイメント・ビジネスを理解していない、出資自治体や企業からの出向者でほとんどのポストが埋められ、自治体からの出向者については、ご褒美的ポストが用意されていたわけですから、事業としても開業前から、その殆どのテーマパークが上手くいくはずがないことは明白でした。「宮崎シーガイヤ」や「大牟田バイオパーク」は、開業前から多くの関係者が、失敗するであろうと言っていた代表格だったそうです。その発言は、現実味のない事業計画が元となっていたそうです。

皆さんの地域にも建てられたであろう「ハコモノ」。一度自身で、計画・建設・現在の状況までを調べてみては如何でしょう。思わぬ事実を知ることになるのではないでしょうか。そこで自治体に対し「説明責任」を果たすよう言ってみては如何でしょう。お知り合いの中に、県議や市議がおられたら裏話を聞いてみるのも面白いかもわかりません。

マスコミに誘導されたとは言え「説明責任」を求める限りは、自身も、家族、勤務先、社会が納得する説明が出来るような生き方をしなくてはいけません。他人に説明責任を問うことは、自身も求められれば説明責任を果たさなければならないと言うことをお忘れなく。

投稿にあたり

投稿には15分以上時間をかけないことを課し、誤字脱字、文脈の揺れを気にせず書いています。テーマはエンターテイメントを中心とした雑記。