2009/10/09

パレスチナ女性の苦悩描く、乳がん題材のアニメ

WHOのサポートを受け、パレスチナで最初の商業アニメとして製作された、女性の苦悩を描くアニメーション「ファテナ」が、ヨルダン川西岸で上映されました。

製作されたアニメーションの主人公は、ガサ地区に住む難民のファテナ。胸にしこりを見つけて医師に相談いきましたが、最初の医師にはブラジャーを緩めればいいと言われ、次に訪ねた医師には結婚すれば治るだろうと言われました。そして胸の異変に気づいてから半年後に出会った医師によって、ようやくまともな診察を受けることができ、乳がんを宣告されました。

パレスチナでは、宗教上の理由で女性の体について語ることはタブーとされており、積極的に治療を行う医師はほとんどいないようです。ファテナは、乳がんと闘いながら治療を受けるために難民キャンプのガザ地区から出ようとしますが、皆さんご存知の通り、イスラエルとパレスチナの関係に阻まれ、やっとのことで治療が受けれる環境に辿り着いたときは、既に手遅れになっていました。

これはフィクションではなく、28歳という若さで2004年に亡くなった実在の女性の話だそうです。このアニメを製作した監督は、「乳がん、病、死、ガザ地区、閉鎖、全てが重く厳しいテーマだが、アニメ化することで、新たな次元、新たな観点が生まれる」と述べています。また「映画の中ではファテナが胸のしこりを調べるシーンがあり、これがきっかけに宗教の壁を破り、乳がんについて公に語れるようになって欲しいとの願いを込めた」とも述べています。



日本では、藤原紀香が賛同し活動している「オーッパイ・プロジェクト」は、皆さんも知るところでしょう。このプロジェクトは、ベトナムでは出産直後から母親が農作業に復帰するほか、古くからの慣習などにより母乳育児が一般的ではないことから乳児の死亡率が高く、それを解決するために生後6ヶ月未満の子どもを持つ母親に母乳の大切さやその知識への理解を促すとともに、その家族である夫や義母に母乳育児の必要性を理解してもらおうという活動です。

双方とも宗教や文化、風習などにより、大切な命が失われている例でしょう。我々には想像もつかないことです。今回作られたアニメ「ファテナ」が世界で注目浴び、多くの人々に新たな次元、新たな観点が生まれ、同じような理由で苦しんでいる人々が苦痛から開放され、幸せに過ごせるようにするのは、平和と自由を享受している我々の責務であると強く感じるニュースです。

上映会後、映画の中で女性の身体について語るというタブーについて、誰も批判したり、とやかく言う人はおらず、亡くなった女性の父親は涙を流していたそうです。

是非、「Fatenah」のHPをご覧ください。

投稿にあたり

投稿には15分以上時間をかけないことを課し、誤字脱字、文脈の揺れを気にせず書いています。テーマはエンターテイメントを中心とした雑記。