秋、続編Ⅱ
「枯葉(Autumn Leaves)」「初秋(Early Autumn)」を紹介しましたが、私が秋の楽曲で最も好きなのが「ニューヨークの秋(Autumn in New York)」。作詞作曲は、1934年にロシア出身のVernon Duke(ヴァーノン・デューク)によって書かれました。2000年にリチャード・ギア主演「オータム・イン・ニューヨーク」で使用され、ジャズファン以外にも広く知られるところとなったのではないでしょうか。
この楽曲も、名演・名唱が多く、美しいメロディーは誰をも引きつけます。また、作者の心情がこの歌には書かれており、人種の坩堝と言われるニューヨークの街に住む、人々の想いを代弁しているかのような歌詞も多くの人に愛される理由ではないでしょうか。
「何も持たない夢見る人々は、この魅惑的な(心惑わす)街にため息をつくだけ。それがニューヨークの秋・・・」。
聴いている分にはよいのですが、理論的には癖のある曲です。メジャーで始まり、終わってみればマイナーで終わっている変り種の曲で、曲中も何度も変調を繰り返す曲です。名演が多い中で、どのアーティストの演奏で紹介するか迷いに迷って、Billie Holiday(ビリー・ホリデー)にしました。深まり行く秋の夜、じっくりと聴いてください。