東京芸大の伊藤航さんが4浪中に、こつこつと一人で完成させた「紙のお城」は、ケント紙のみで制作されており、設計図などは作らず、海に浮かぶお城と街をイメージして作られたそうです。
私が画廊を訪ねた時は、小さな子どもからお年寄りまで、楽しそうに作品に見入っており、作品を媒介とし、年齢を超えた会話が弾んでいました。真っ白の「紙のお城」ですが、見る者の心には豊かな色彩のお城に映っていたでしょう。
コンセプト(作者による)
この紙のお城には教会、公園、プラネタリュウム、遊園地、空港、電車など・・・。様々なものが一体となり一つの大きな都市をを築き上げています。いつかこんな家に住みたいという自分自身の野望もあり、いつの日か本当にこのお城が現実のものになるのを期待しながら制作を続けてきました。
このお城を制作し始めたのは、今年か四年前になります。この四年間には初めて一人暮らしで環境を変えてみたり、アルバイト先で様々な人に出会ったりと自身が 大きく変化した期間でもありました。これまで一つのことを作り続けるということをしたことがなく、ある意味作り続けるという実験だったのかもわかりませ ん。四年前と今の自分では価値観も根気も技術力も違ってきています、それでも作っているものは同じ、これはすごくおもしろいことだと思いました。
これからも見てくださる方の記憶にいつまでも残っていればと思います。
参考:2月18日付 朝日新聞記