2009/01/25

観光立国とユニバーサル・スタジオ

アジアを中心に海外進出を進めてきた米国ユニバーサル・パークス・アンド・リゾート、昨年からの大幅な景気減速の影響を受け、今後の計画のはどうなるのでしょうか。
米国以外でのユニバーサル・スタジオは、直接経営ではなく、簡単に言えばフランチャイズです。各国の事業会社が事業主体となり、開業後はフランチャイズ料金として、売上の数パーセントを上納する仕組みです。
しかし事業主体は、アトラクションの購入、クリエイティブ・コントロール、それにかかわる米国スタッフの期間採用など、莫大な資金がかかります。この部分がユニバーサルにとって大きな収益をもたらします。以下に世界で計画されているユニバーサル・スタジオの現状について紹介します。

中国・上海
上海万博に合わせ開業を予定していたユニバーサル・スタジオ・チャイナは、5年前に突然の事業中止となりました。既に、米国からはスタッフが乗り込み開業に向け建設の準備が進められていた矢先です。突然の事業中止について、詳しくは伝わってきませんが、双方の間で事業に関する意見の対立が生まれたと言うことですが、米国側に問題があったのではないかと考えられているようです。

韓国・ソウル
2007年5月、韓国での事業主体となる企業との間で、複合型エンターテイメント・リゾートとして、2012年開業を目指し基本契約。11月には、ソウル郊外の京畿道華城市松山面(キョンギド・ファソンシ・ソンサンミョン)で開業を目指すと発表され、その規模はオーランドをも凌ぐと言われています。しかしながら、急速な景気の後退を受け、事業が停止しているとの話が聞こえてきています。

アラブ首長国連邦・ドバイ
2012年開業に向け、国営企業が事業主となり着々と準備が進められてきたドバイ・スタジオ・シティは、複合型エンターテイメント・リゾートに加え、本格的な映画スタジオの建設も予定されており、完成すればその規模は世界最大と言われています。
ですが、昨年、俗に言うバブルが弾け開業を遅らす可能性がでて来ました。現に、ドバイの建設現場で働く、アジア各国から招聘されていた建設労働者が解雇され、各国にもっどっています。
今後の経済状況しだいでは、大幅な開業の遅れ、一時中断の可能性も考えられるのではないでしょうか。
国内で、話題となったキッザニアも開業予定でしたが、どうなってるんでしょうか。

シンガポール・セントーサ島
2010年に開業を予定しているユニバーサル・スタジオ・シンガポール、観光立国の再建を目指し、シンガポールの南に浮かぶセントーサ島に、カジノを含むマルチリゾート開発の一つとして進められています。来年のUSCの開業を皮切りに、同年夏、2011年春と、施設を順次開業していきます。
事業主体は、マレーシアの天然資源と観光事業などを行うマレーシア最大の企業ゲンティング社が、この事業のために設立したリゾート・ワールド・セントーサ社です。
開業を1年後に控え、アトラクションの建設が急ピッチで行われており、昨年秋にはゲンティング社の日本法人も設立されました。

シンガポールは、国土が狭く産業も少ない国でしたが、早くに国語を英語にし、国際会議も含め観光立国を進めてきた国です。
その結果、最近まで国際会議の開催件数はアジアNo.1、IT・金融産業も発展しましたが、アジア諸国の経済的発展、観光を一つの柱とした外貨獲得など、観光立国としての危機を感じての新たな開発が、リゾート・ワールドであり、F1の獲得もその一つでしょう。
来年は、建国45周年。これを機にアジアNo.1の観光立国として脚光を浴びるかも分かりませんね。

日本も観光立国を目指すために、昨年観光庁を設立し、世界からの観光客獲得競争に参戦しました(少々遅いような気はしますが)。
企業のかかわり方、事業規模、内容など、様々な点で、日本の観光開発の手本となるのがリゾート・ワールドではないでしょうか。

既存の観光資源を活用しながら、カジノを一つの核としたマルチリゾートとして、より高い集客を目指すことが、日本の経済に大きな影響を及ぼすかをもう少し真剣に考えて欲しいですね。
国内のカジノ法案は、郵政問題で3年間止まり、進みそうになったものの政治の混乱で、またもやストップ。その上、経済の悪化。各党、与野党の調整も進まぬ今、日本の観光立国は夢の夢となるのでしょうか。

投稿にあたり

投稿には15分以上時間をかけないことを課し、誤字脱字、文脈の揺れを気にせず書いています。テーマはエンターテイメントを中心とした雑記。