最近読んだ観光関連の雑誌に以下のようなことが書いてありました。発給要件が緩和されたとは言え以下の書類が全て必要とのことです。
- 約65万円以上の貯金の証明書
- 不動産登記簿謄本
- 自家用車の所有証明書
- 株の所有証明書
- 約65万~260万円の保証金
- ビザ発行手数料2万円
- 勤務先の登記簿謄本と保証書
- 身分証明書、戸籍謄本
例えば、13万円(8000元)のツアーの場合、中国本土の旅行会社、日本の大手旅行会社、国内の中国人が経営する小さな旅行会社の3社が間に入り、実際に旅行に使われるのは7万円程度(中国人の平均年収4万元(約65万円))。
ゴールデンコースと呼ばれている「大阪着→京都見物→富士山見物→東京でショッピング→帰国」では、大阪ー東京間はバス移動、少し良いツアーで一部区間新幹線に乗れるそうです。そういえば、新幹線で中国人の団体客には会ったことがありません。また宿泊も国民宿舎や安価なビジネスホテルで済ますケースが殆どのようです。
このように、出発前から時間と労力を費やし、日本へやってきた中国人観光客の方は満足しているのでしょうか。
今は日本に旅行することがステータスなのでしょうか。電化製品、化粧品、子供服などを購入することが目的なのでしょうか。それらが目的なら現状は、ま良しとしましょう。
確かに日本人も好景気に沸いた頃、海外でブランド品から不動産まで買いあさっていました。そして今はその国の文化や歴史にふれたり、日本とは全く異なる地へ行くことで自身をリセットしたり、日本では決して体験できないコトを目的としたりと、旅行の目的が大きく変わりました。
中国の方に次の旅行も日本を選んでいただけたときは、我々と同じように日本の文化や歴史などを体験できるツアーや、自国では体験することが難しいコトを体験するために来られるとが予想されます。
日本の文化や歴史を体験することを目的に訪れる中国人は、言い換えれば能動的に日本を理解しようという気持ちであることです。これこそごひいきさんになっていただける大きなチャンスです。観光立国を目指すというのであれば、能動的に日本の文化や歴史を体験したいと思い来日される中国のみならず多くの外国人の方に、いかに満足いただける旅行を提供できるかが、観光立国として成立できるかどうかでしょう。
但し、能動的に日本を理解しようという気持ちで来日する旅行者は、モノを買いにくる旅行者より、満足感を与えるのは難しいということです。モノを目的とする観光客は、お目当ての日本製品が買えればそれで目的を達します。しかし、日本の文化や歴史を体験することを目的に来日する外国人が、体験が満足のいくもであったかを判断するのは、自身の「知」と「五感」がどれだけ満足したかで計ります。このことを理解せずして観光立国にはなりえないと考えます。
政府、自治体、旅行業界の方々、今も大事です。しかし観光立国を目指すのであれば、今後の方がはるかに大事であることを今一度考えていただきたいですね。手遅れにならないうちに。