2010/05/01

聖書に興味津々(2)


個人的な話になりますが、お祈りで1日が始まり、お祈りで1日が終わるカトリック系の学校に12年間通っていました。宗教の時間はもちろん、一般教科も神父やシスターから授業を受けました。宗教の時間は、特に退屈な時間だったことを思い出します。唯一良かったと思えたことは、週休2日が広く定着していないころから、週休2日だったのが何より嬉しかったことを思い出します。

とはいえ、特に信仰心がある訳でもなく、今まで過ごしてきました。しかし、不思議なもので教会に行くと落ち着くというか、ホットするというか、子ども時代の刷り込みが、15年前ぐらいから威力を発揮してきた感があります。出張や旅行に行ったおりに教会があると、ついつい覗いたりしています。これは、中学〜高校と過ごした自宅の前が教会だったことも影響しているのかもしれません。

実家の周辺には、車で30分圏内に多くの教会があります。クリスマスになると、ロウソクを持った聖歌隊が街を廻り、週末には教会でコンサートが開かれるなど、社会人になるまでは、教会に自然に触れられる環境にいたことを今更ながら思い起こしています。

そんな環境で育ったとはいえ、信仰心のないのは事実です。
しかし、ここにきて聖書は面白そうと思ってしまうのはなぜなんでしょう。

先の投稿で、元カネボウ薬品社長の三谷康人氏の言葉を紹介しました。「不況で追い込まれたビジネスマンは、ハウツーに見向きもしない。みんな本質を求めている。ドラッカーが読まれるのは、彼のマネジメント理論がハウツーではなく聖書から導き出された本質だから。企業が聖書を求めている・・・」

ドラッカーと聖書の関係は、日本ではあまり知られていないようです。Wikipediaを見ても、聖書やキリスト教との関係については、一切触れられていません。また、ドラッカーについて書かれたものにも、聖書との関わりについて触れられたことはないように思います。

元カネボウ薬品社長の三谷康人氏が述べられた、「・・・ ドラッカーが読まれるのは、彼のマネジメント理論がハウツーではなく聖書から導き出された本質だから・・・」と言われても、聖書に関する知識がない私は、ドラッカーを深く理解することができないのかと思ってしまいます。

そこで、1冊ご紹介です。

「聖書に興味津々」の興味で読んだ本なのですが、「頭にあったドラッカーという経営学者」「聖書に対しての知識・理解の浅い私」、ドラッカーと聖書を橋渡ししてくれる本だと思いました。三谷康人氏が述べられた「ハウツーではなく本質」。まさにこの言葉の意味をストレートに書かれた本だと思います。

著者:松島 修
(サンマーク出版)

聖書というものが、幸せに生きるための手引書であり、歴史や世界を知るためには重要な書物であるとの理解はありましたが、「聖書は宗教の書ではない」で始まるこの本は、宗教色を排除し、聖書が導く成功(幸せ)の法則が分かりやすく書かれています。

先の投稿で紹介した山崎製パン社長 飯島延浩氏のインタビュー記事の中にあった「右手に聖書、左手にドラッカー」。私の場合「 右手に聖書、左手にドラッカー、机の上にこの本」ということになるのでしょうか。

元富士銀行頭取/みずほファイナンシャルグループ名誉顧問の橋本徹氏は、「私がこれまで出会ってきた経営者の中には、まさしくこの本に書かれた真理の原則を保ち、実践された方が多くいます。振り返ると、私の人生もまた、聖書に支えられた半生といえます。すべてのビジネスマンたち、そして、これまでの成功哲学に飽き足らない方にぜひ読んでいただきたい一冊です」と推薦文を寄せています。

4月16日のリリースによると、2/25初版発行から約1ヶ月で5刷りが発行されたと言うことですから売れ行き好調のようです。また発売直後、アマゾンで総合1位にも輝いています。

この本には、読み方にはコツがあるような気がします。最初はサックと読んで、2回目は引用されている聖書の言葉などについて考えながら読むと大変理解が深まります。3回目以降は、年に1回程度読むことで自身の現状を把握し、向かうべき方向に対して適切な考えや行動がとれているかを確認できる本だと思います。

また、人のタイプを4つに分類し、それぞれのタイプの強みと弱みについて端的に書かれており、自身を知るには良いと思います。これだけでも、思い立った時に読み返すと自身を冷静に見つめることができると思います。

いままで「聖書」と聞いて、腰が引けていた方に薦めです。

「聖書」と「ドラッカー」。久しぶりにドラッカーを本棚の奥から引っぱり出して、あらためて読んでみることにします。今まで読み取れなかった、気付かなかった、ドラッカーが伝えたかったビジネスの真理が、あらたに見えてきそうな気がします。


もう1冊、興味深く読めた本を紹介します。

少し考えなければ理解できないところはありましたが、面白く読めたのは『はじめての宗教論 右巻~見えない世界の逆襲』著:佐藤 優(NHK出版)です。


「宗教論の講義を始めます」ではじまる本書は、宗教や聖書、キリスト教についての核心的な問題を「知の怪物」といわれる著者らしい視点と持論で展開しています。1人で勉強したら、決して入り込むことない聖書、神学の世界。そして、それらと国や社会との関わりなどを分かりやすく、明快に語っています。

本を読みはじめた頃、某新聞社OBの方とお会いした際、この本の話をしました。「諸外国の国の戦略立てる人材は、神学、哲学、社会学を学んだ人が殆どなんですよ。特に、米国や中東を理解するためには、聖書を理解していないと戦略的外交はできないのです」と言われました。

確かに、聖書が建国の原点となっている米国。ユダヤ教の聖典は旧約聖書、イスラム教のコーランとも共通する部分も多く見られることは知られたことです。

また、知人である海外の科学者の通訳を行っている通訳者に、聖書について聞いたところ、「新約聖書は、空で言えるよ」とサラリと言われてしまいました。彼女曰く、科学者の通訳をするためには、聖書を理解してないとできなと言い切られました。つまり海外の科学者が持つ世界観を理解しないと、通訳者自身も理解できないし、正しい通訳はできなと言うことなのでしょう。確かにそうだろうと思いました。

信仰心を持たなくとも、十分に楽しめそうな聖書。しかし、聖書そのものを読むとなると、億劫な気持ちの方が先に立つのも事実です。聖書を読まず、その周辺書籍をいくつか読んでから、聖書を読むのもいいのかなと思ったりしています。ここで紹介した2冊は、その入口に近づける書籍だと思います。

投稿にあたり

投稿には15分以上時間をかけないことを課し、誤字脱字、文脈の揺れを気にせず書いています。テーマはエンターテイメントを中心とした雑記。