ウォークマンと手作りヘッドフォンアンプ、ゼンハイザーのオープンエアータイプのヘッドホンが自慢でした。今ではごく普通の若者の姿ですが、当時としては最先端で誰でもといったものではありませんでした。
若い頃、首都圏のテレビ局に出入りしていました。TBSを訪れたある日、親しくしていただいていた音楽番組のプロデューサーから、これ聞いてごらんと言われヘッドホンをかけると何とステレオ。その時ヘッドホンから流れてきたのは、1985マイルスに収録されている「On Green Dolphin Street」、今でもはっきりと覚えています。
当時のハンディータイプのカセットプレーヤーはモノラルでしたし、イヤホンは片耳型のものだけでした。決して音楽を聴けるような代物ではありませんでした。
驚きと、感動で、聞き入っていると、欲しい?と聞かれ、価格も聞かずハイと答えたのを覚えています。それから1週間後仕事場に行くと、ハイこれと手渡してくれました。なんとプレゼントしていただきました。
その後、自慢げにヘッドホンをかけ日テレに行ったとき、ベテランスイッチャーの方から声をかけられ、いいもの聞かせてやろうと言われ、その方が持ってきたアルミの箱とゼンハイザーのヘッドホンを自分のウォークマンにセットし聞いてみると、これが同じウォークマンと思うぐらい全く異なる迫力のある音が聞こえてきました。
小さなアルミの箱は、その方自作のヘッドホンアンプでした。これ欲しい?と聞かれ、ハイと答えると、じゃあげるよといただきました。但し、ヘッドヘッドホンは自分で買いなさいよと言われ、仕事が終わって秋葉原に直行したのを覚えています。
ヘッドフォンアンプは006Pと言われる9Vの電池が使用されており、イコライザー付の優れものでした。また、オープンエアーのゼンハイザーにドンピシャでした。
その後、多くの音楽関係者やタレントさんたちが、このセットを手に入れ音楽を楽しんでいました。多分、ウォークマンが大ヒットしたとはいえ、このような3点セットで楽しんでいた一般の方はいなかったのではないでしょうか。
素晴らしい音に出会うことは感動であり、よき思い出です。ウォークマンのみならず当事自宅に持っていたオーディオの殆どは、音楽関係、テレビ局関係の方からのいただき物ばかりでした。全て合わせると数百万円はしたでしょう。自慢は日テレの音楽番組のプロデューサーが組み立てたクリスキットのRCAの真空管がずらりと並んだプリアンプでした。当事は、オーディオとレコードが本当に宝物でした。
歌謡界絶世の頃、テレビ局や音楽関係の方々は高給取りだったんでしょうね。
ゼンハイザー:日本では一般的に馴染みのないメーカーですが、マイクとヘッドホンの世界的メーカーで、双方とも音楽スタジオでは必ず使用されている製品です。特に、低音の表現力が弱いと言われていたオープンエア型のヘッド、しかしゼンハイザーはそれを克服し、オープンエアー型のヘッドホンでは圧倒的なシェアを誇っていました。今では携帯音楽プレーヤー用のイヤホンも多く発売しており、個人的には、オープンエア型ではNo.1と思っています。