「We are USJ」についての発表資料はコチラ。
発表資料でのUSJからのメッセージは、「ゲスト、従業員、キャラクターなどとのコミュニケーションを図っていきます」ということです。プラットフォームを結構しっかり作り込んでいる割にはメッセージが弱い気がしますし、その弱さが「図ってどうするの?」と思いになってしまいます。
従業員やキャラクターのツイッターへのつぶやきは、企業がプロモーションとして行なうには疑問の内容です。またオフィシャルブログ「テーマパークは生きものだ」は、従業員とオフィシャルブロガーが投稿するとなっていますが、多くは従業員による投稿のようです。ターゲットをどこに据えて書かれたものか、また内容はともかく文章が幼稚すぎます。最も欠けているのは、お客様をお迎えする立場であることをわきまえたものとなっていません。単に「○○をやってます」、「○○売ってます」というだけで、体験することや所有することの喜びなどについて語られていません。ワクワク感を醸成しないですね。
内容を見ているとツイッターは「受け」、ブログは「お知らせ」で、本来USJが伝えなければならないことが見受けられませんし、訪問者に対する問いかけがありません。USJがいう「コミュニケーションを図っていきます」は、ワンウエイのことなのでしょうか。違うと思います。コミュニケーションを図るということは、USJ側から能動的に働きかけないと、USJが考えているであろうコミュニケーションは成立しません。
「We are USJ」はコミュニケーション機会をつくるためのツールであって、お客(ファン)とUSJとのコミュニケーションを深めるのは従業員(投稿者)です。もちろんそれを円滑に、効果的に、目的を達するために技術は必要ですが、ツールを作ることが目的となっているようにしか見えないのは私だけでしょうか。
例えばツイッターで「今日のパークは晴天ですけど少し寒いのでコートを」はよいですし、ユーザーの反応もあるでしょう。例えば、加えて「寒さ吹き飛ばす感動と喜びはご用意していますが、念のため」と付け加えると随分印象が変わってきます。また「寒さ感じたら○○レストランで、○○スープで身体を温めてください。評判いいんです」なんていうのもいいかもしれません。
このようなツールを使用するときに重要と考えるのは、ユーザーとの距離をいかに短くするかということです。つまりユーザーに親近感を感じてもらうといことです。上記のつぶやきに「ありがとう、コートもっていきます」と返信してきたユーザーに対し、「寒さ感じたら○○レストランの○○スープで身体を温めてください。評判いいんです」と返すことで、ユーザーとの距離は縮まり、ユーザーはUSJに対し親しみを感じるでしょう。またユーザーはパーク内で寒いと感じたとき、最初に思い浮かぶのはおすすめのスープでしょう。
このように親近感を抱かせる返信をすることが重要で、そうすることで広告的なメッセージが入っても不快感を与えないと思いますし、結果としてUSJが金銭的利益のみならず多くのものを手に入れることに繋がると思います。
USJはさまざまなコミュニケーション計画を打ち出してきますが、そこには企業として十分に練られた跡が見受けられません。昨年発表した「きずなラボ」の開設についてもしかりです。本ブログで予想した通りの状態になっているようです。
本ブログの「きずなラボ」に関する投稿:USJが脳科学調査
「きずなラボ」:http://www.kizuna-lab.jp/top.html
「We are USJ」が「きずなラボ」の二の舞にならぬよう、ソーシャルメディアを活用したコミュニケーションのありかたにについて、今一度考えていただきたいと思います。
私だったらUSJの園長である「ウッディー」のツイッターを立てます。キャラクターとしてもツイッター向きですし、その後、状況を見て彼女である 「ウィニー」を登場させ、ツイッターの世界で「ウッディー&ウィニー」のやり取り、例えば共感できるウィニーとウッディーの互いへの不満ややきもち、切ない気持ちなどにパーク情報をのせ、エンターテイメント企業としてのツイッターを計画しますがいかがでしょう。
そうすることで、つぶやかない人も、二人のやり取りとそこに割ってはいるユーザーツイートを楽しんでもらえると思います。親近感やパークの臨場感も伝わりやすいように思います。
「We are USJ」は、成功するのに最も難しい運営方法を選んでいるような気がします。
とはいえ、せっかく「We are USJ」を立ち上げたのですから、コミュニケーションを図るということは、USJから社会に歩み寄ることから始まることを再確認し、歩み寄るための技術について再検討し、十分なトレーニングをし、USJのことならホームページより、「We are USJよ!」といっていただけるようなものにしていただきたいですね。