<平成20年度 犬猫の処分数>
犬:84,264頭 猫:202,228頭 計286,492頭
(H19年度より約2.4万頭減少)
ペッ トの悲惨な状況を伝える報道は近年多く見受けますが、社会問題としての報道であり、動物との共生についての報道は非常に少ないと思います。今秋 COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)が愛知県で開催さました。動物との共生について考える良いきっかけになるかな思っていましたが、 COP10自体が話題になることが少なかったのではないでしょうか。
では、社会問題としての報道が多いのにもかかわらず、社会からの問題提起や解決への動きがないのは何故なのでしょう。確かに一部企業と動物保護団体は、殺処分減や保護犬の譲渡促進などの啓蒙活動を行っているようですが、企業においては掛け声だけの印象が強く、保護団体は点での活動で、なかなか大きな力になっていないのが実情ではないでしょうか。
このような状況はペット業界がペットたちの現状を問題として捉えていないか、業界として問題解決に積極的に動いていないからではないではないでしょうか。つまり自らの収益を優先してきたことにほかなりません。動物保護法の整備も他の先進国と比べれば大きく遅れている現状からすれば、ペット業界は社会的責任を果たすためにも積極的な行動が求められるところです。
人間社会では共生社会を目指してといわれています。人と長く暮らしてきた犬や猫も共生社会の一員であると考えるのが一般的だと思います。その現実があるからこそ、ペット業界は産業として発展してきたのです。共生社会の一員として、ペット業界自らが動物たちの現状改善に率先して取り組まなくてはならないのではないでしょうか。このままでは、業界は社会から自覚がないと思われても致し方ないのではないでしょう。これは業界の発展を自ら拒んでいることと同じと言えます。
動物たちが置かれている現状を考えるとペット関連企業が、官、学、業界団体、保護団体に積極的に働きかけ、一体となって動物たちの現状改善に取り組まなければ、倫理観が欠如した業界として社会には受け入れられなくなり、関連企業は淘汰され産業規模は縮小していくでしょう。
ペッ ト産業は危機感を持っていると聞きました。伸び率が低調になってきているとのことです。業界全体の売上で見ると微増ですが、犬のペットフードは飼育頭数が 頭打ちとなり、市場は縮小ぎみです。しかし高額なペットフードの売上が伸びているため売上げという点では、横ばい・微増ということです。ペットケア用品や 玩具などについては、一桁前半の伸びを維持しています。
(2009年4月20日富士経済調査発表より「全体の市場規模は前年比2.9%増の3981億円となった。2009年もプラス成長を維持し、同4.5%増の4159億円になると予想」)
業界として危機感を持っていてもなお何もできない業界、ペット業界は動物好き頼みの業界です。ペット業界は動物たちと彼らを愛する飼い主によって生かされていることに気づき、動物たちが安心して暮らせ、そして自らが発展していけるために何を行うべきかをよく考えていただきたいものです。
既に、自治体、一部企業、動物保護団体などにより問題解決の方向性は示されると思います。 それは、保護犬・猫の譲渡促進と里親募集です。これらの活動に、ペット関連産業は企業市民として社会的倫理観を持って積極的に取り組むだけです。
このままでは、犬や猫たちは社会が助けても、ペット業界に対して社会は救いの手を差し伸べないでしょう。