2011/08/04

平清盛での経済効果はありがたい。でも、その目的客のガッカリが心配

日銀神戸支店によると、NHKドラマ「平清盛」放送にともなう経済効果を150億(兵庫県内)と試算。

観光客は、神戸市内を中心に年間120万人(5%)増えると想定。日帰り客7,800 円、宿泊客26,977 円を消費するとして、直接効果102億円、間接消費も合わせて150億との試算だという。これまでの大河ドラマでは、「龍馬伝(高知県)」234億円、「天地人(新潟県)」204億円で、平清盛効果については、ドラマの舞台が比較的狭い範囲にとどまるため経済効果は低くなるだろうとのこと。(日銀神戸支店リリース

経済効果については大変喜ばしいことだが、今残る史跡を見た観光客はどう感じるだろう。ガッカリされることになるのではないかと心配する。

平清盛にかかわる史跡は、観光資源としてのインパクトに欠ける。例えば、県内であれば姫路城のように、歴史に造詣が深くなくとも、多くの人が興味を惹かれる歴史的建造物がないからである。また史跡が残る場所の多くは、観光客にとって歴史ロマンあふれる環境を有しておらず、観光客から見て神戸を感じられる場所ともいいがたい。だからといって今更どうすることもできないのも現実。

また神戸観光の中心となる、三宮から元町にかけてのショッピングエリア、異国情緒を味わえる北野町、居留地などからも離れ、いままでの観光客が回遊する地域から西側に点在しており、十分な事前情報を持たないと史跡めぐりは難しい。ましてや市民にも十分に知られていないことも、観光客から場所などを聞かれても答えられない可能性が高い。観光客は、事前に十分な情報を収集しなければ、無駄な時間を過ごす事になるだろう。

史跡の現状(神戸市HPより)
平清盛ゆかりの史跡 福原遷都~兵庫区北部編(PDF
平清盛ゆかりの史跡 大輪田泊~兵庫区南部編(PDF

とは言ってられないので、神戸市は以上のようなこと補完するためであろう2ヵ所のハコモノを計画した。この仕上がりについては想像がつくが、大河ドラマをキッカケに今までと違った視点で神戸を楽しんでいただくいう意味と、期待してこられた方に最低限の満足を与えるためには必要な施設だろうと思う。もちろん市民にとっても気軽に神戸の歴史を知る場としては意味のある計画だろう。

個人的には、観光客のガッカリは気にせず、大河ドラマあやかり商売に徹することが良いのではないかと思う。日本人は観光関連イベントが、期待より下回ることに馴れているいいお客さん、よほどのことがないかいぎり怒ったりはしない。「ま、こんなもんやろね」という評価は、日本の観光イベントでは好評としてカウントされる。

いずれにせよ平清盛を継続的に観光資源として活用することについては難しいのではないかと考える。
(神戸新聞より)神戸の街と清盛が抱いた夢を重ねたアニメ調のイメージ画やロゴマークでPR。清盛とゆかりの深い兵庫区に史跡などを案内する「歴史館」、神戸ハーバーランドに登場人物やストーリーなどを紹介する「ドラマ館」をそれぞれ設け、来年1月21日から約1年間、清盛をテーマにイベントなどを繰り広げる。
歴史館は、兵庫区中之島2の市中央卸売市場の跡地に設置。出土品などを展示、平安時代の暮らしを紹介し、史跡巡りツアーの拠点にする。約6300平方メートルの敷地にはほかに物産や飲食ゾーンなども設ける。
ドラマ館は、ハーバーランドセンタービル1階の空き店舗約500平方メートルを利用。登場人物の衣装や小道具などを展示、映像シアターも備える。
以前の投稿「平清盛と神戸観光について考えてみた

最後に、「KOBE de 清盛」推進協議会の基本計画書をどうぞ

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